衛生管理者とは?わかりやすく解説!/対象事業場・役割・選任について

役割解説

衛生管理者の概要についてまとめました。

こんな人に読んでほしい記事です。

  • うちの事業場、衛生管理者足りてる・・・?と不安に思っている
  • 衛生管理者って何をするポジションなのかわからない
  • 衛生管理者を置かなかったらどうなるか知りたい

衛生管理者の役割とは

衛生管理者は、労働安全衛生法で定められた国家資格です。

労働者の健康や衛生的な労働環境を守る役割を担います。

そのため、衛生委員会または安全衛生委員会を設置する場合は、構成メンバーとして指名されます。

衛生管理者としての職務は大きく分けて、衛生にかかる技術的事項の管理作業場等の巡視の2つです。

衛生に係る技術的事項の管理

次のa~gを管理します。

a 労働者の健康障害を防止するための措置

b 労働者の衛生のための教育の実施

c 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置

d 労働災害の原因及び再発防止対策

e 衛生に関する方針の表明

f 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置

g 衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善

救護に関する技術的事項を管理する者が選任されている場合は、当該者の実施する措置を除く。

「救護に関する技術的事項を管理する者」とは

爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するために、救護に関する必要な管理や訓練を行う人を指します。これは、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、ずい道等の建設及び圧気工法による作業を行う事業者において選任が義務付けられています。

作業場等の巡視

少なくとも毎週1回、作業場等を巡視します。

巡視の結果、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するための措置を取らなくてはなりません

衛生管理者を選任しなければならない事業場の業種と規模

対象事業場

常時50人以上の労働者を使用する全ての事業場

選任の基準1:業種と衛生管理者としての資格者

業種衛生管理者としての資格者
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業A 第一種衛生管理者免許保持者
B 衛生工学衛生管理者免許保持者
C 医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント、中学・高校の保健体育の教諭免許保持者、大学・高等専門学校の保健体育担当の常勤教授准教授・講師
その他の業種D 上欄のA~Cに同じ
E 第二種衛生管理者免許保持者

選任の基準2:選任数

常時使用する労働者数衛生管理者数
50人〜200人1人以上
201人〜500人2人以上
501人〜1000人3人以上
1001人〜2000人4人以上
2001人〜3000人5人以上
3001人〜6人以上

専任の衛生管理者、衛生工学衛生管理者の選任基準

専任の衛生管理者

次の事業場において選任された衛生管理者のうち1人以上を専任にします。

業務常時使用する労働者数
業務を問わず1001人以上
A 坑内労働
B 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
C 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
D ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる
E 土石、獣毛等のじんあい業務又は粉末を著しく飛散する場所における業務
F 異常気圧下における業務
G 削岩機、鉄打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務
H 重量物の取扱い等重激なる業務
I ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
J 鉛、水銀、クロム、批素、 黄りん、弗素、 塩素、 塩酸、硝酸、亜硫酸、 硫酸、一酸化炭素、 二硫化炭素、 青酸、 ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、 蒸気又はガスを発散する場所における業務
501人以上使用する事業場で、左欄の業務に常時30人以上が従事

衛生工学衛生管理者

501人以上使用する事業場で専任の衛生管理者が必要な業務のうち、A・B・D〜F、Jの業務を行う場合は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任します

業務常時使用する労働者数
A 坑内労働
B 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
D ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる
E 土石、獣毛等のじんあい業務又は粉末を著しく飛散する場所における業務
F 異常気圧下における業務
J 鉛、水銀、クロム、批素、 黄りん、弗素、 塩素、 塩酸、硝酸、亜硫酸、 硫酸、一酸化炭素、 二硫化炭素、 青酸、 ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、 蒸気又はガスを発散する場所における業務
501人以上使用する事業場で、左欄の業務に常時30人以上が従事

専任と専属の違いとは?

「専属」= その事業場のみに属している
「専任」= もっぱらその職務のみを行っている

杜の主
杜の主

労働安全衛生規則においては、この二つは全く違う概念なんだよね〜

衛生管理者の選任方法と報告に関する規定

選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に行わなければなりません。

選任したら、指定の様式(労働安全衛生規則様式3)の書類を、所轄の労働基準監督署へ提出します。

衛生管理者を置かなかった場合の罰則

選任義務があるにもかかわらず衛生管理者を置かなかった事業場には、労働安全衛生法第120条にもとづき50万円以下の罰金が科されます

こんな時どうしたらいい?/ 衛生管理者を選任することができない!

やむを得ない事由がある場合は、所轄都道府県労働局長の許可を受けたときは選任が免除されます。

やむを得ない事由とは、衛生管理者の突然の死亡、退職等特殊の事由により欠損を生じたが、その充足に期間を要することがやむを得ないと認められるときです。

免除にあたっては、特定の者を衛生管理の業務に従事させることを条件として、かつ、おおむね一年以内の期間に限って行うことなどの要件が設けられています。

杜の主
杜の主

選任報告の提出は労働基準監督署だけど、選任を免除する許可を下すのは都道府県労働局長だよ。

免除してもらうための申請書などのフォーマットはないので、まずは所轄都道府県労働局に行って相談しましょ。

まとめ

衛生管理者は、労働者の健康や衛生的な労働環境を守るために必要なポジションであり国家資格です。

50人以上の労働者がいる事業場では、衛生管理者を選任しなければなりません。

この労働者には派遣社員も含みますから、多くの事業場において衛生管理者の選任が求められることがわかりますね。

安全管理者とは異なり、試験に合格しなければならないことから、すぐに対処できません。

実際に職場で衛生管理者を取得するように言われた時に役立つ、資格の種類と試験概要についてはこちらで解説しています。→衛生管理者を取ろう!押さえるべき資格の種類と試験概要

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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